TOSHIMI物語 – Part4── 唯一無二を形にするまで

TOSHIMI T

唯一無二を形にするまで

――「核」を可視化するための意思決定

この物語はOBBIJIN奮闘記KIWAKA物語
を経て、私が“第二の挑戦”として歩み始めた
TOSHIMIというブランド構築の記録です。

今回は、
「ブランドの核を、どのように“形”へ落とし込んだのか」
その具体的な意思決定とプロセスについてお話しします。


1.コンセプトが具体化した瞬間

「iTOP™を宝石にするなら、
それにふさわしい“器”が必要だ。」

TOSHIMIというブランド構想が
ようやく輪郭を持ち始めた頃
私の中で自然と導き出された答えが
“パーティーバッグ” でした。

主役はあくまで
宝石を用いたオリジナルファスナー引手「iTOP™」。

その価値を最大限に引き立てるには、日常使いではなく
非日常の場にふさわしいプロダクトが必要だと考えたのです。


2.素材選定と、最初の壁

バッグの素材に選んだのは、最高峰のエキゾチックレザー
ポロサス(クロコダイル革)

希少性、美しさ、品格。
どれを取っても、TOSHIMIの方向性に合致していました。

しかし、すぐに大きな課題に直面します。

「この素材を“一点物”として縫製できる工房がない」

量産前提ではなく、一点一点の完成度を追求する。
この条件を満たす先は、想像以上に見つかりませんでした。


3.人に相談する、という選択

行き詰まりを感じた私は
大手アパレルでキャリアを積み、
同時期に新規事業を立ち上げていた友人に相談しました。

そこで名前が挙がったのが、長年の飲み友達である C氏

これまで仕事の相談をしたことはありませんでしたが
思い切って構想を打ち明けてみると、
彼は驚くほど真剣に耳を傾けてくれました。

C氏は、ジュエリー学校の講師を経て
現在はクリエーター育成や地域活性化にも携わる人物。

そのネットワークの中から、
私の条件に合致する職人を紹介してくれたのです。


4.「できる人」に出会うと、世界が動く

紹介されたのは、若くしてパリコレ経験を持つ靴職人。

革製品に限らず、一点物の表現力に長けた方でした。

私は、
「iTOP™が主役として際立つクラシカルなパーティーバッグ」
というイメージを伝えました。

さらに、バッグを開いた瞬間に
視線を惹きつける“内側の色”も必要だと考えていました。

職人さんに連れられて訪れた革屋で出会ったのが
屏風のように輝く 黄金色の革

この時、「コンセプトと素材が一致した」
という感覚を、はっきりと覚えています。


5.iTOP™の再定義

同時に進めていたのが、
iTOP™そのもののデザイン再構築です。

KIWAKAでは
「金杯」をモチーフにした引手が支持されましたが
TOSHIMIでは、よりエレガントで、
より象徴性のある造形が必要だと感じていました。

言葉を洗い出し、書き続けて
イメージを深掘りする中で辿り着いたモチーフが
「薔薇」
しかも、「サムライ」という名を持つ薔薇でした。

華やかさと強さを併せ持つ造形は、
TOSHIMIの思想そのものだと感じました。


6.完成に近づくということは、課題が増えるということ

ファスナー会社、宝石会社、バッグ職人、C氏。
関わる全員が妥協せず、打ち合わせと試作を重ね
三度目でようやく理想に近づいていきます。

並行してロゴ制作も進行。
「TOSHIMI」のアルファベットを多角形で構成し、
最後の “i” にはファスナー引手を象徴する意味を込めました。

2019年2月頃、パーティーバッグは
ようやく“形”として立ち上がり始めます。

しかし同時に、新たな課題も明確になります。

  • ファスナー引手を、どう美しく収めるか

  • バッグを収めるケースは、既製品では成立しない

  • バッグと連動するジュエリーは必要か

KIWAKAの時とは、まったく異なる次元のブランド設計
私を待っていました。


この段階で私が学んだのは、
「コンセプトを本気で形にしようとすると
 必ず“想定外の課題”が現れる」
ということです。

けれど、それは失敗ではなく、本質に近づいている証拠

TOSHIMIは、ここからさらに試されていきます。

つづく──